前回の税率引き上げは、平成26年4月1日からということで、3月決算企業や
団体においは、会計期間をまたぐ契約が少なかったかもしれません。しかし、
今回の税率引き上げは令和元年10月1日からのため、9月30日をまたぐ契約も
多くあり、特に1年間の役務提供契約などに関して、判断に迷ってしまうことが
あるかと思います。
1.基本的な考え方
役務の提供が完了した時の税率が適用されます。
役務提供契約が、契約期間を1年間として料金を年額で定めており、役務提供が
年ごとに完了するものである場合には、資産の譲渡等の時期は役務の全部を
完了する時となり、令和元年10月1日以降である場合は10%ととなります。
ただし、1年分の対価を受領することとしており、中途解約時の未経過部分に
ついて返還の定めがない契約において、継続して1年分の対価を受領した時の
収益として計上している場合で、令和元年9月30日までに収益計上したものは
8%とすることができます。
2.契約が指定日前の経過措置適用の有無
施行日の令和元年10月1日の半年前の平成31年3月31日を指定日として、
経過措置が設けられています。経過措置は、それに該当する取引については、
経過措置を適用しなければなりません。
経過措置の主なものは次の通りですが、それぞれ限定された契約となっています。
① 旅客運賃等 ②電気料金等 ③請負工事等 ④資産の貸付け ⑤指定役務の提供
⑥ 予約販売に係る書籍等 ⑦特定新聞 ⑧通信販売 ⑨有料老人ホーム
⑩ 家電リサイクル法に規定する再商品化等
⑪ リース譲渡資産に係る資産の譲渡等時期の特例を受ける場合
⑤の指定役務の提供とは、冠婚葬祭のための施設の提供その他の便益の提供に係る役務の提供をいい、限定されています。
3.その他実務上の留意点
実務上、契約書では消費税が8%となっていても、10月1日以降の課税取引の
消費税の計算においては、10%で計算することになる場合もありえます。
また、1.のような消費税の計算の取扱いを前提として、今後の契約をする
うえで不利のないように検討することが必要となる場合があるかもしれません。
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