持分なし医療法人の小規模宅地等の特例

 1.特例同族会社事業用宅地等に該当しない
  例えば持分なし医療法人である基金拠出型医療法人の院長(基金拠出
者でもある)がその医療法人に医療施設用建物の敷地として宅地を貸し付けて
いる場合、その院長が死亡した際、その貸し付けていた土地については
小規模宅地等の特例の「特定同族会社事業用宅地等」に該当しません。

 2.特定同族の要件を満たさないため
  理由としては、持分の定めのない医療法人の場合は各出資者に固有の
持分がないことから特定同族会社の要件である「被相続人等が出資総額の
50%超を有する」を満たすことができないためです。
  一方その土地については「貸付事業用宅地等」には該当するため
全く減額がされないということはありません。ただし、院長が「特定居住用
宅地等」に該当する自宅を持つ場合は、「特定同族会社事業用宅地等」であれば
「特定居住用宅地等」と併用できたものが、「貸付事業用宅地等」の場合は
「特定居住用宅地等」との面積制限に達するまでの選択適用となりますので、
その適用を大きく制限されることとなります。

 3.法人成り、持分なし医療法人への移行の際は注意
  法人成りを検討する際には、この特例の制限がデメリットとなる法人の
運営形態(もともと賃貸物件であればデメリットとは認識されない)かどうかを
踏まえ検討する必要がありますし、移行の場合には、もともと持分の評価が
大幅に軽減されることを目指していますので、特例の制限が相続税額に
どの程度の影響を及ぼすかを把握しておく必要があります。

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