我が国の製造業は近年まで、AI、IoTなどの技術を活かして、従来からの
製造プロセスを効率化、省力化するといった段階にとどまっており、商品機能の
拡充や新市場の開拓につなげる事例は少なかった。数少ない例外として挙げられ
てきたのは、小松製作所(コマツ)、ボイラーの三浦工業、ブリヂストン等です。
コマツは、建設機械に搭載されたコムトラックス(KOMTRAX)という稼働管理
システムの標準装備化によりGPS機能と衛星通信を使って、各種センサー、エン
ジンコントローラー、ポンプコントローラーからの情報を収集し、各機械の位置、
稼働状況、稼働時間、エンジン負荷状況の把握、部品交換の時期、燃料供給時期
等を遠隔地で把握することを可能にしました。また無人運行システムによる安全
性の向上とコスト削減、ハイブリッド油圧ショベルの建機による燃費効果、CO2
排出量の削減にも寄与しています。
コマツの事例は、最近の技術の進歩を自社の製造業の業務プロセスの改善を
超えて、新技術、新製品の創造により、従来の自社の建機販売・納入(による利
益の獲得)を超えて、建機利用者にとっての利用目的,必要とする機能の提供を
意図し利用者にとっての価値の創造にも貢献しています。
コムトラックスは、1990年代終わり頃の日本では建機の盗難が意外と多く、
その対策にもなるというのが、開発の動機の一つであったとのことです。
コムトラックスによるデータ収集の大きな成果は稼働状況の把握です。
因みに、稼働状況を把握することにより、稼働課金制を導入している企業
として、航空機エンジンについてのGEがあります。
我が国を代表する製造業、トヨタは本年2月に東京エリア限定で、愛車サブ
スクリプションサービス「KINTO」(筋斗雲に由来)を展開しています。これは
オールインクルーシブで、3年間定額で一台の車を乗ることができる、あるいは
3年間定額でレクサスの6車種を半年ごとに乗り換えることができるという利用の
仕方です。おそらく、販売・引き渡しではなく、エンドユーザーとの接点を維持
し、その後の利用状況のデータを把握することにより、次のビジネスモデルへ
つなげていくのではないかと思います。
【参考】
「なぜ「製造業のサービス化」が進んでいるのか」
㈱東レ経営研究所、2017,7,8経営センサー、増田貴司稿
「競争戦略と経営システムの構築」
大倉雄次郎著、関西大学出版部 2015,3
「ダントツ経営 コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」」
坂根正弘著 日本経済新聞社2011,4
コメント