中村健一 公認会計士・税理士事務所

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ストックオプションに関する最近の事例

インセンティブ制度として用いられるストックオプションですが
大きく分けて、有償型、無償型(税制適格)、無償型(税制非適格)に分類されます。
有償型と税制適格の無償型はキャピタルゲイン課税ですが、税制非適格の無償型は
権利行使時の給与所得課税となります。

 ストックオプションの給与所得課税回避のため無償型ストックオプションを
税制適格とするためには譲渡禁止規定や、2年間のロックアップ、権利行使金額の
年間合計金額が1200万円を超えないこと等のいくつかの要件を考慮しなければなりません。
そこで最近は有償型のストックオプションの利用が増えてきているようです。
有償型ストックオプションの発行価額決定の際に業績条件を厳しくすることで新株予約権の
発行価額を低く抑え、役社員の資金負担を低く抑える工夫がなされているようです。

 有償型・無償型のいずれにおいても生じる課題として、ストックオプションを
付与した後で実際にはあまり業績貢献しない役社員がいたり、上場直前に入社した
役社員に良い条件のストックオプション付与が難しいといった課題があります。
これらの課題を解決する手段として最近は「時価発行新株予約権信託」という形で、
有償型ストックオプションを信託に対して発行し、上場後に受益者たる役社員に
一定の規程に基づいて付与するという仕組みが開発され、事例が増えてきているようです。

 時価発行新株予約権信託のスキームは以下の流れとなっています。
①第三者に法人課税信託を設定してもらい、金銭を信託します。
②信託は贈与を受けた形になるので税負担があり、法人税を納税します。
③発行会社は当該信託に対して新株予約権を発行し、信託は法人税納税後の金銭をもって新株予約権の払い込みを行います。
④上場後にあらかじめ決められたポイント規程をもとに受益者である役社員への新株予約権の付与数が決定されます。
⑤新株予約権を付与された役社員は付与の時点では課税されず、取得した株式の売却時のキャピタルゲイン課税だけを負担する形になります。

時価発行新株予約権信託

 相続税対策などで信託の活用が注目されていますが、
面白い使い方を考える人もいるものですね。


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